お金持ち。

酒も一切、飲まない。女遊びもギャンブルもしない。携帯は10年以上前のガラケーで、SNSもゲームもやらないし(作家なのに)本も読まない。テレビは子どもたちの所有物。ボクシングを除けば、唯一の趣味は金魚鑑賞。日常的に使う金は朝飯の立ち食い蕎麦代(490円)と煙草代(480円)のみ。・・・だから、決して金の掛かる生活を送っているわけではないのだけれど、常に金がない。なぜなら、金にならない仕事を、人類のために自腹を切って、続けて来たから。

 

だから、たまーに、自販機で買うジュースが、とても美味しく感じられる。それは、私にとって、贅沢な味だから。

 

もし、私が月に自由に使える金が100万円あったら、自販機のジュースの美味しさは分からないだろう。ローンを組んで、10万円の腕時計を買う緊迫感と興奮は味わえないだろう。

 

家族が食うや食わずまで困窮してしまったら洒落にならないけれど、人間、あまり、金持ちになってしまうと、物の価値が分からなくなってしまうと思う。

高級シャンパン飲み放題と、自販機のジュースの喜びを比べるなら、私は後者でいい。

自販機に100円玉を入れる時の罪悪感と引き換えに飲むジュースは、本当に美味しいのだから。

 

人類に捧げた仕事。『ユニバーサル・マシン』

machine1997.com