お金持ち。

酒も一切、飲まない。女遊びもギャンブルもしない。携帯は10年以上前のガラケーで、SNSもゲームもやらないし(作家なのに)本も読まない。テレビは子どもたちの所有物。ボクシングを除けば、唯一の趣味は金魚鑑賞。日常的に使う金は朝飯の立ち食い蕎麦代(490円)と煙草代(480円)のみ。・・・だから、決して金の掛かる生活を送っているわけではないのだけれど、常に金がない。なぜなら、金にならない仕事を、人類のために自腹を切って、続けて来たから。

 

だから、たまーに、自販機で買うジュースが、とても美味しく感じられる。それは、私にとって、贅沢な味だから。

 

もし、私が月に自由に使える金が100万円あったら、自販機のジュースの美味しさは分からないだろう。ローンを組んで、10万円の腕時計を買う緊迫感と興奮は味わえないだろう。

 

家族が食うや食わずまで困窮してしまったら洒落にならないけれど、人間、あまり、金持ちになってしまうと、物の価値が分からなくなってしまうと思う。

高級シャンパン飲み放題と、自販機のジュースの喜びを比べるなら、私は後者でいい。

自販機に100円玉を入れる時の罪悪感と引き換えに飲むジュースは、本当に美味しいのだから。

 

人類に捧げた仕事。『ユニバーサル・マシン』

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ジム。

前半生と後半生を区切ることになった最大のきっかけ(ポイント)は、ジムを移ったことだ。

 

私が、ボクシングのトレーニングをする場所を移ったのは、直感的な気の流れの変化を読み取ったからであって、決して前のジムが嫌になったからではない。私は今でも前のジムを愛しているし、トレーナーの技術と人格にも全幅の信頼を置いている。ただ、以前いたジムは、階段を下りた地下にあり、トイレも和式で「女性会員大歓迎!」と謳いながらも、あまり、女性が練習したくなるような場所ではなかった。

新しく移った「ボクシングクラブ上野」は、階段を上った2階にあり、どこもかしこもピカピカに磨かれ、照明も明るく、BGMもクラブ・ミュージック。実際に、女性会員が非常に多い。

この「ボクシングクラブ」は、渋谷、新宿、上野、新橋、池袋にチェーン展開していて、どこも駅から徒歩1分。トレーニング環境も去ることながら「企業戦略が、うまいなあ」と思うのは、その「名称」。

一般のボクシングジムの名前は「会長の名+ボクシングジム」というのがオーソドックスなのだけど、あえて「ジム」という言葉を使わず「クラブ」として、何の名称も付けずに、単なる「ボクシングクラブ+地名」。これで「ボクシング」の持つ、泥臭さは、完璧に消える。

前のジムでは、ボクシングが上手くなりたくて、ひたむきに研究し、練習していた。今のジムでは、ミット打ちすらしない。フィットネスやエクササイズですらない。サンドバックやパンチング・ボールはやるけど、基本「(クラブに)踊りに行く」という感覚で通っている。

その方が、気楽で気軽でいい。明るく、前向きな後半生を生きるためには。

追記

新しいジムに通い始めて、1週間で3キロ痩せて、手持ちで一番細いジーンズ(ディーゼル)が履けるようになった。練習するより、踊る方が痩せる、という皮肉。

 

人類に捧げた仕事『ユニバーサル・マシン』

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オープンハート。

昨日、ハミルトンの「オープンハート」という腕時計を買った。10万円。もちろん、ローンを組んで。私は、間もなく48歳。辛く、苦しかった前半生を乗り越え、明るく、前向きな後半生を、この時計をパートナーとして生きて行く。

 

うちの奥さんがバブル時代に買った「ロレックス」「オメガ」「ホイヤー」は、誰もが知っているけれど、「ハミルトン」は、アメリカで創業されて120年以上の歴史を持つ、時計好きなら、知らぬ者はいないメーカー。事情があり、これまで私の手元には、様々な腕時計が来ては去って行った。「オープンハート」は、残りの生涯を共にする。

 

そのことを意識して買ったわけではないのだけど、すべての始まりとなった『ハートカッター(ハートを切り刻む)』という小説、ライフワークとなった『ハートメイカー(ハートを創造する)』という作品(青山ライフ出版)に続いて、最後に手元に引き寄せられたのが「オープンハート(ハートを開く)」という象徴(キーマテリアル)。

 

これからは「ハート」を開いて生きて行きたい。

新しく移ったジムでシャドーをしていると、色々なトレーナーから「フォームが美しい、選手だったんですか?」と訊かれる。ボクシングを褒められるのが、何より嬉しい。もちろん、選手ではない、スパーリング経験すらほとんどない、単なる練習生でしかない「おやじ」としては。

 

人類に捧げた仕事。『ユニバーサル・マシン』

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